トマト栽培 真夏の高温対策
- 2018/08/21
- 20:35
こんにちは。
年々暑くなる夏の猛暑、真夏の高温時期いかがお過ごしでしょうか。
強烈な日差しの降り注ぐ中、無防備な装備品のみで出歩いていないでしょうか?
熱中症対策は万全ですか?気が付いた時にはもう遅いなんてことにならないように。
さてトマト栽培にとっても真夏の高温対策はとても重要だ。
トマトは強い日差しと高い温度を必要とするが限度がある、それを超えると様々な障害が出てくる。
真夏にトマト栽培をする温室内では外の温度よりもはるかに高い温度になってしまう、
そこで今回は温室の高温対策について限られているがいくつか考察してみよう。
まずはトマトの高温障害をいくつか紹介しよう、温室トマトでは真夏に栽培を開始するため
さまざまな高温障害を経験してきた、実に失敗の連続である。
高温による障害が現れる部位は花芽と果実、それと葉がもっとも多い、
見えない部分では根の状態にも影響が出ている。
地上部の障害の要因はもちろん高温と強烈な太陽の日差しにより、
トマトの植物体温上昇がきっかけになっている。
地下部の根に影響を与えているのは地温の上昇と灌水に使用する水温の上昇だ、
これが根の活動に影響している。
まずはトマトの樹と収穫量に影響する花芽の高温障害から紹介しよう。
通常トマトの最適温度では花芽の寿命は比較的長めです、これが高温環境では極端に短くなります。
高温は花粉にも影響があり発芽と受精に悪影響を与えます。
受精後はかならず果実が肥大するとは限らないが高温の悪影響を受けた場合は着果もせず、
肥大すらもしないまま花芽が落花してしまうことが多い。
花芽は高温環境でのトマトの樹の生育状態にも影響を受け、スタミナ不足、逆に生育が繁茂な
場合にも花芽の品質を左右する。
見た目での判断としては花の色で見分けている、健康そうな花は濃い黄色だが、
これが薄い黄色の花になってくると怪しい。
もう一つ高温環境での注意点が受粉に使用する蜂と植物成長調整剤を使用する場合です。
まずトマトの受粉に使用するマルハナバチは高温環境をあまり好まない、
日中などあまりにも暑い時間帯は巣箱から出てこない、よく巣箱の入り口から羽で風を送り込み
巣の中を冷却しているのを観察できる。
訪花活動をしているのは早朝の早い時間くらいで、それ以降は巣箱の外で見ることはない。
あまり活動することが出来ないため、巣箱の寿命と受粉にも影響が出ていると考えられる。
そのため温室トマトでは真夏の高温時期はマルハナバチは使用していない。
そこで蜂の変わりに使用するのが植物成長調整剤である。
これは植物ホルモン剤により花芽を着果させ肥大させる作用があります、
受粉を行わなくても着果させることが出来るため、真夏の高温時期や低日照環境で使用しますが
ただしこれも必ずしも着果する訳ではないです。
高温環境での花芽の寿命も短いため使用するタイミングをうまく調整したいところです、
その昔、温室トマトでは花芽の開花から期間を取りすぎて大量に不着果を引き起こした経緯があります。
植物成長調整剤を高温時期に使用する際は希釈濃度には十分注意し使用方法を良く確認してください。
果実に見られる高温障害は芯腐れ果と尻腐れ果、それと裂果になると思います。
まずは芯腐れ果について、トマトに発生する症状として果実内部に黒く変色した部位が出来る症状。
トマトの果実外側からは見えないため選別の際に分かりにくいのが特徴です。
果実表面の凹みなどで見分けることも可能だが、まったくきれいな果実でも内部に症状がある場合
があり、判断指標として果実の着色までの期間があまりにも早い場合にはとくに注意する。
症状が発生するはっきりとした原因は分かっていないが、高温環境での養液管理も要因の一つだと考えられる、
可能な限り適正な養液管理を心掛け、あまりにも高濃度の液肥管理はとくに注意したい。

次に高温時季に発生が見られるのが尻腐れ果になります。
見た目の症状は果実のお尻の部分(果実先端)が黒く変色し腐ってしまう症状です、
症状は小さいものから大きいものまで様々です、極端に着色するのも早くなります。
原因としてカルシウム不足が引き起こす生理障害と言われています、
しかしながら与える養液はカルシウムが少ないことは無いのですが不思議と発生します。
高温の影響による温室内の温度、湿度などがトマトの蒸散と根からの給水に何かしら影響を
与えていると考えられます。
適正な養液管理と、可能な限り適した温湿度管理を心掛けたいです・・・非常に厳しいですが。

高温が果実に与える影響として裂果もあります。
裂果は果実に亀裂が入り割れてしまう事ですが、とくに放射状に割れる症状が多いです。
裂果の要因は複雑なため対策も難しいです、
高温環境の場合、日射量・温室内温度・トマト果実成長速度・果実内温度・灌水タイミングなど
すべての要因が絡み合っていると予想されます。
可能な対策としては、温室内温度の最適化と遮光コントロールそれと過剰な灌水の抑制などです。
温室トマトの裂果対策としては、温室内温度の抑制は現状では不可能なため、遮光コントロールと
灌水の管理で調整を続けています。
最後に高温環境がトマトの葉に与える影響について。
これまで高温によりトマトの葉が枯れあがったことは温室トマトでは経験が無い、
(灌水がストップして枯れあがったことはあるが・・・)
意外とトマトの葉は丈夫である、水さえ与えればおそらく枯れることは無い。
ただ、見た目は大丈夫そうではあるが葉の成長速度と光合成の能力は正常では無いかもしれない、
これについては実際に生育調査をして、葉の枚数・葉の長さ・葉色など調べるしかない。
そこからトマトの樹の成長速度、伸長量・花芽の段数・花数・着果数などを過去の記録と照らし合わせ
現状を把握するしかないと考えられる、実に手間はかかるが・・・。
例年、温室トマトで夏の高温時期に発生する葉の症状を一つ紹介しよう、
未だに症状の名称と発生原因は不明であるが・・・。


症状としては葉の裏側に気泡のような膨らみが葉脈にそって発生する、
トマト一株の全部の葉ではなく下段の葉に特に症状が見られ、ごく稀に全部の葉にも症状が出る。
症状が出た葉は自然に治療することは無くそのままであるが、病気予防で早めに葉は取るようにしている、
何かの生理障害だとは考えられるが、症状が発生する要因については現在も調査中である。

高温対策について実際の所出来ることは限られている。
温度を下げようにも設備的な限界もあり可能な範囲の対策になってしまうのが現状だ、
灌水の管理、トマトの作業管理だけでは限界がある、
今後、夏の時期の高温がさらに上昇していくのが予想されるなら作型を遅らせるのも一つの方法かもしれない。
これから先、真夏の強い日差しを利用することが出来れば驚異的な収穫量が実現できると予想される、
トマトの栽培技術と温室のさらなる技術革新に期待したい。
年々暑くなる夏の猛暑、真夏の高温時期いかがお過ごしでしょうか。
強烈な日差しの降り注ぐ中、無防備な装備品のみで出歩いていないでしょうか?
熱中症対策は万全ですか?気が付いた時にはもう遅いなんてことにならないように。
さてトマト栽培にとっても真夏の高温対策はとても重要だ。
トマトは強い日差しと高い温度を必要とするが限度がある、それを超えると様々な障害が出てくる。
真夏にトマト栽培をする温室内では外の温度よりもはるかに高い温度になってしまう、
そこで今回は温室の高温対策について限られているがいくつか考察してみよう。
まずはトマトの高温障害をいくつか紹介
まずはトマトの高温障害をいくつか紹介しよう、温室トマトでは真夏に栽培を開始するため
さまざまな高温障害を経験してきた、実に失敗の連続である。
高温による障害が現れる部位は花芽と果実、それと葉がもっとも多い、
見えない部分では根の状態にも影響が出ている。
地上部の障害の要因はもちろん高温と強烈な太陽の日差しにより、
トマトの植物体温上昇がきっかけになっている。
地下部の根に影響を与えているのは地温の上昇と灌水に使用する水温の上昇だ、
これが根の活動に影響している。
花芽に与える高温の影響
まずはトマトの樹と収穫量に影響する花芽の高温障害から紹介しよう。
通常トマトの最適温度では花芽の寿命は比較的長めです、これが高温環境では極端に短くなります。
高温は花粉にも影響があり発芽と受精に悪影響を与えます。
受精後はかならず果実が肥大するとは限らないが高温の悪影響を受けた場合は着果もせず、
肥大すらもしないまま花芽が落花してしまうことが多い。
花芽は高温環境でのトマトの樹の生育状態にも影響を受け、スタミナ不足、逆に生育が繁茂な
場合にも花芽の品質を左右する。
見た目での判断としては花の色で見分けている、健康そうな花は濃い黄色だが、
これが薄い黄色の花になってくると怪しい。
もう一つ高温環境での注意点が受粉に使用する蜂と植物成長調整剤を使用する場合です。
まずトマトの受粉に使用するマルハナバチは高温環境をあまり好まない、
日中などあまりにも暑い時間帯は巣箱から出てこない、よく巣箱の入り口から羽で風を送り込み
巣の中を冷却しているのを観察できる。
訪花活動をしているのは早朝の早い時間くらいで、それ以降は巣箱の外で見ることはない。
あまり活動することが出来ないため、巣箱の寿命と受粉にも影響が出ていると考えられる。
そのため温室トマトでは真夏の高温時期はマルハナバチは使用していない。
そこで蜂の変わりに使用するのが植物成長調整剤である。
これは植物ホルモン剤により花芽を着果させ肥大させる作用があります、
受粉を行わなくても着果させることが出来るため、真夏の高温時期や低日照環境で使用しますが
ただしこれも必ずしも着果する訳ではないです。
高温環境での花芽の寿命も短いため使用するタイミングをうまく調整したいところです、
その昔、温室トマトでは花芽の開花から期間を取りすぎて大量に不着果を引き起こした経緯があります。
植物成長調整剤を高温時期に使用する際は希釈濃度には十分注意し使用方法を良く確認してください。
果実の高温障害
果実に見られる高温障害は芯腐れ果と尻腐れ果、それと裂果になると思います。
まずは芯腐れ果について、トマトに発生する症状として果実内部に黒く変色した部位が出来る症状。
トマトの果実外側からは見えないため選別の際に分かりにくいのが特徴です。
果実表面の凹みなどで見分けることも可能だが、まったくきれいな果実でも内部に症状がある場合
があり、判断指標として果実の着色までの期間があまりにも早い場合にはとくに注意する。
症状が発生するはっきりとした原因は分かっていないが、高温環境での養液管理も要因の一つだと考えられる、
可能な限り適正な養液管理を心掛け、あまりにも高濃度の液肥管理はとくに注意したい。

次に高温時季に発生が見られるのが尻腐れ果になります。
見た目の症状は果実のお尻の部分(果実先端)が黒く変色し腐ってしまう症状です、
症状は小さいものから大きいものまで様々です、極端に着色するのも早くなります。
原因としてカルシウム不足が引き起こす生理障害と言われています、
しかしながら与える養液はカルシウムが少ないことは無いのですが不思議と発生します。
高温の影響による温室内の温度、湿度などがトマトの蒸散と根からの給水に何かしら影響を
与えていると考えられます。
適正な養液管理と、可能な限り適した温湿度管理を心掛けたいです・・・非常に厳しいですが。

高温が果実に与える影響として裂果もあります。
裂果は果実に亀裂が入り割れてしまう事ですが、とくに放射状に割れる症状が多いです。
裂果の要因は複雑なため対策も難しいです、
高温環境の場合、日射量・温室内温度・トマト果実成長速度・果実内温度・灌水タイミングなど
すべての要因が絡み合っていると予想されます。
可能な対策としては、温室内温度の最適化と遮光コントロールそれと過剰な灌水の抑制などです。
温室トマトの裂果対策としては、温室内温度の抑制は現状では不可能なため、遮光コントロールと
灌水の管理で調整を続けています。
高温がトマトの葉に与える影響
最後に高温環境がトマトの葉に与える影響について。
これまで高温によりトマトの葉が枯れあがったことは温室トマトでは経験が無い、
(灌水がストップして枯れあがったことはあるが・・・)
意外とトマトの葉は丈夫である、水さえ与えればおそらく枯れることは無い。
ただ、見た目は大丈夫そうではあるが葉の成長速度と光合成の能力は正常では無いかもしれない、
これについては実際に生育調査をして、葉の枚数・葉の長さ・葉色など調べるしかない。
そこからトマトの樹の成長速度、伸長量・花芽の段数・花数・着果数などを過去の記録と照らし合わせ
現状を把握するしかないと考えられる、実に手間はかかるが・・・。
例年、温室トマトで夏の高温時期に発生する葉の症状を一つ紹介しよう、
未だに症状の名称と発生原因は不明であるが・・・。


症状としては葉の裏側に気泡のような膨らみが葉脈にそって発生する、
トマト一株の全部の葉ではなく下段の葉に特に症状が見られ、ごく稀に全部の葉にも症状が出る。
症状が出た葉は自然に治療することは無くそのままであるが、病気予防で早めに葉は取るようにしている、
何かの生理障害だとは考えられるが、症状が発生する要因については現在も調査中である。
高温対策まとめ

高温対策について実際の所出来ることは限られている。
温度を下げようにも設備的な限界もあり可能な範囲の対策になってしまうのが現状だ、
灌水の管理、トマトの作業管理だけでは限界がある、
今後、夏の時期の高温がさらに上昇していくのが予想されるなら作型を遅らせるのも一つの方法かもしれない。
これから先、真夏の強い日差しを利用することが出来れば驚異的な収穫量が実現できると予想される、
トマトの栽培技術と温室のさらなる技術革新に期待したい。