「百葉箱」 温湿度測定ボックスについて
- 2018/04/07
- 20:55
こんにちは。
今回のテーマは、「百葉箱」になります。
温室環境のコントロールには環境制御コンピュータが導入されている温室がほとんどだ。
複雑に変化する温室環境を人間がコントロールするのは無理がある。
コンピュータならあらかじめ設定したプロセスにしたがい最適な環境を作り上げることが可能だ。
しかし計算に使用する温度、湿度は実際に温室内で測定した数値を使用している
その数値を測定するため各種センサーが収められているのが温湿度測定ボックス、通称「百葉箱」だ。
これから、環境制御コンピュータと同じくらい重要な「百葉箱」について解説していこう。
使用している百葉箱

温室トマトで使用している、百葉箱はPriva社製の温湿度測定ボックスになる。
Priva社はオランダの環境機器メーカー、とくに温室環境のコンピュータ制御では世界トップシェアらしい
現在使用している温湿度測定ボックスは20年以上前のモデルになるため最新の機器ではないが
仕様はほぼ同じだと考えられる。
測定ボックスの中には温度センサーが取り付けられている。
この中で測定された数値を環境制御コンピュータに送り温室環境のコントロールに使用している。
百葉箱の仕組み

百葉箱の中には、太陽からの日射を直接受けないように2つの温度センサーが取り付けられている。
上段に取り付けられているのが「乾球温度センサー」
下段に取り付けられているのが「湿球温度センサー」
環境制御コンピュータはこの2つの温度センサーから数値を取り出し演算している。
湿球温度センサーには「ガーゼ」が巻き付けられ常に湿った状態になっている。

温湿度センサーの横にはファンが取り付けられ、常時風が送られている。
風速2m/sくらいの風がセンサーにあたる仕組みのようだ。

百葉箱のサイドには空気を取り入れるための窓がつけられ、ボックス外の空気を取り入れている。

温湿度センサーの後ろ側には、温湿球センサー、電源ケーブルなど各種配線ケーブルがある。

百葉箱の測定位置についてだが、温室トマトでは4カ所で測定している。
これについては温室の規模と仕様で測定する箇所は変わってくると考えられる。
測定する吊り下げ高さについても同じく、測定位置によって制御に影響するからだ。

百葉箱を吊り下げる場所についてだが、温室トマトでは雨どいの下に吊り下げている。
これは本来あまりよろしくないそうだ、雨どいからの結露など水滴が落ちてくる場合があるからだ。

最適な吊り下げ位置としては、百葉箱の上部に何もないのが望ましい。
日常のメンテナンス

百葉箱のメンテナンスとして、
定期的に湿球温度センサーに巻き付けられているガーゼを湿らせるための
水の補給と交換が必要だ。
水は自然と蒸発してしまうのと、鮮度が悪くなってくるためだ。
この水が空になってしまうと、湿度の数値が正常に測定できなくなるため注意が必要だ。

水の交換と一緒にガーゼも交換しておくと良い、どうしても汚れてしまうからだ。
ガーゼはコットン100%の製品を必要な分だけカットして使用している。
故障とトラブル

故障とトラブルとして、まずセンサーの故障がある。
測定している温度と湿度の値があきらかにおかしい場合はセンサーのトラブルが原因だ。
接続ケーブルなど異常が見当たらないのなら、おそらくセンサーの故障だ
この場合、センサーの交換となる。
測定値の異常は、環境制御のコントロールにかなりの影響がある、早めの対策をしたい。

次に故障するのが「DCファンモーター」になる。
常時、センサーに風を送っているため停止させることがない、おそらく寿命が来るのだろう。
修理は出来そうにないので、新しいファンに交換となる。
* 以前、故障したとき交換のために取り寄せたファンを記載しておきます。
オリエンタルモーター株式会社 「DCプロペラファン MDSシリーズ MDシリーズ」
まとめ
百葉箱は温室栽培にとって、とくに環境制御コンピュータには必要不可欠だ。
この百葉箱がトラブルを起こすとまともな温室環境のコントロールは出来ない。
定期的にメンテナンスをおこない、トマト栽培にとって最適な生育環境を作りたいものだ。
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