トマトの線虫被害 ネコブセンチュウの症状・発生時期と生態・防除と対策
- 2020/04/25
- 19:31
こんにちは、温室トマト管理人です。今回、トマトの線虫被害を初めて確認する事が出来ましたので記事にしたいと思います。もしかすると今まで気が付いていなかっただけで以前から被害があったのかもしれませんが・・・。
ネコブセンチュウの症状
ネコブセンチュウ被害の症状についてまずは地上部に見られた症状について。良く晴れた日中に成長点付近での本葉の萎れ症状が見られました、もう一つは先端部分の茎径が細くなり始めています。
症状がさらに悪化すると生育不良、葉の黄化、最終的には枯れあがり枯死するようです。
問題は地上部よりも地下部の根になります。はじめて症状を確認した時は地上部の萎れ症状から根腐疫病を疑いました根が茶色く腐敗していたからです。
ネコブセンチュウ被害の特徴は根にこぶ状の症状が出る事です、これが根腐疫病との大きな違いです。根が茶色く腐敗するのは同じでこれが原因となり養分の吸収が阻害され生育不良を引き起こし萎れ枯死すると考えられます。
根のこぶ状に膨らんだ部分を壊すと中にネコブセンチュウの雌成虫(体長0.5~1mm)を確認する事が出来るようです。
発生時期と生態
発生時期 21℃~26℃の土壌中がもっとも生育が活発 冬季でも温室施設などでは加温する場合が多く生育適温になれば活動します。地温が10℃以上とになると卵から孵化し活動を始めますが16℃以下だとあまり活発には生育しないようです。
線虫の種類 トマトに被害を与える線虫は数多く、もっとも代表的なのがネコブセンチュウ。
生態 活動適温となると卵から幼虫が孵化し活動を始めます、幼虫は土壌・培地内を移動してトマトの根に辿り着き根の先端部分から内部に侵入し摂食を開始します、その後脱皮を数回繰り返し成虫となります、成虫はその後卵を産み一世代が終了します。生育適温が整っている限りこのサイクルを繰り返しています、活動期間は約1カ月。
温室トマトでの発生時期
※苗移植後(2月上旬)から4月上旬までのロックウール培地内の温度になります。測定した時間は日中になります、夜間の記録はありませんがこの温度より少し低めとなります。
ネコブセンチュウの被害を確認したのは4月上旬でした、トマトの苗移植後約68日経過した11週目。ロックウール培地内温度の記録を見てみるとネコブセンチュウの活動に比較的適した環境だったように見えます。
防除と対策
ネコブセンチュウの防除は被害が発生してからではすでに遅く予防が基本となるようです。線虫の少ない土壌・培地を準備する事、苗などから持ち込まない事、圃場の外からの持ち込みを防ぐ対策など挙げられます。
土壌・培地のネコブセンチュウ対策「太陽熱処理」
太陽熱処理は土壌をビニールなどで覆い蒸し込むことで線虫の密度を低下させます、温室・ビニールハウスなどの場合は窓を閉めて蒸し込むことで土壌・培地内を高温にし線虫密度を低下させます。問題点として高温の状態を長期間維持しないと効果が薄いため天候に左右される場合があります。また土壌・培地内の表面付近は高温処理が出来ていても土壌内部深くまでは高温処理が到達しない事があります。
温室・ビニールハウスで太陽熱処理を行う場合はかん水装置・環境制御システムなどが高温で故障、トラブルを起こさないように対策が必要です。もちろん人が高温の温室・ビニールハウス内に入る際には大変危険がともなうため注意が必要です。
土壌のネコブセンチュウ対策「薬剤処理」
土壌の場合は薬剤を使用して線虫防除を行うようです。薬剤には土壌燻蒸剤と土壌にすき込む粒剤などがあるようです。
※土壌薬剤処理に関して温室トマト管理人は薬剤使用経験が無いためうまく紹介出来ません・・・。
まとめ
ネコブセンチュウ被害は症状が発生してからではすでに手遅れとなってしまいます。トマトの栽培を開始する前の準備段階で土壌・培地内の線虫密度を出来る限り下げる事が線虫被害をある程度抑える事になると考えられます。
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