根腐疫病の症状と対策 今シーズン最悪のスタートを切ったトマト栽培
- 2019/10/22
- 21:45
こんにちは、温室トマト管理人です。
7月より栽培を開始したトマト栽培・・・どうやら今シーズンは最悪の前半戦になりそうです。その原因となっているのが「根腐疫病」、温室トマトのトマト栽培を脅かす最悪の病気です。今回は根腐疫病の発生状況と対策についての記事となります。
根腐疫病とは?
病原菌 糸状菌(カビ) 水かびの仲間 ( フィトフトラ クリプトジア )
病気の症状
晴れた日の日中に生長点付近の葉に萎れ症状が現れます、萎れ症状はやがてトマトの樹全体に広がり日中は萎れ夜間は回復してを繰り返しやがて枯れあがります。根は茶色く変色し細根はほぼ腐り主根のみが形を残していますが根の機能は失われています。根からの水分吸収が機能していないため萎れ症状として地上部の葉に現れます。トマト生長点の生育も極めて遅く萎れ症状を繰り返しているうちに枯れてしまうため生育は止まってしまいます、果実も同じく収穫時期に入っている果実は着色はしますが成長段階の果実は肥大が遅く生育する前にトマトの樹は枯れてしまいます。
病気の発生時期
第一花房の収穫期に入る少し前に萎れ症状が発生する事がほとんどです。温室トマトでの根腐疫病発生時期は9月下旬から10月上旬の第一花房のトマト収穫期少し前がもっとも多く、その後は感染していたトマトの樹がだらだらと萎れ症状を発症し順に枯れていきます。
※栽培時期に関係なく発生しますが初夏からの栽培スタートがもっとも病気が多く発生しています。
病気の治療方法
糸状菌に感染した状態から治療する事はかなり困難なためほぼ枯れてしまいます。
根腐疫病の症状
根腐疫病の萎れ症状が現れる頃には枯死するまであまり長くは持ちません、一度感染してしまうと治療も困難です。根腐疫病の症状が発症している場合、少しだけ萎れ症状を遅らせる事は出来なくはないですがいずれ枯死します。
トマトの樹全体の症状
根腐疫病の症状はトマトの樹が萎れます、とにかく萎れます。天気の良い日中などは根腐疫病に感染しているトマトの樹はほぼほぼ萎れ症状が葉に現れます。
根の症状
通常病気に感染していない根は白く健康的に見えます、ところが病気に感染の疑いがある場合茶色く変色した部分が確認できます。病状が悪化して末期になってくると細根は枯死して取れてしまい主根が残るくらいですが根としての機能は失われています。トマトの葉に萎れが出るのは根が枯死してしまうからです。
根と地上部の境界線
疫病によって根が腐り始めているトマトの地上部と根の境界線で確認できる複数の「気根」。うまく機能していない根の変わりに水分を吸収するために伸びているのだと考えられます。気根を多く伸ばすことで根の変わりに水分を吸収させトマトの樹を生存させることは可能ですがやがて糸状菌は侵入してしまいます。
病気発病株の茎
根腐疫病を発症したトマトの地際付近の茎を切ってみると内部が茶色く変色し、導管・師管ともに糸状菌に浸食されています。症状がひどい場合は茎の外側にも茶色く変色した部分が現れ、内部の浸食部分も30cm~50cm位まで達します。
こちらの画像は地際付近の茎を切った痕の断面になります、内部は病気により茶色く腐敗しています。これでは水分と養分を吸収し送り届ける事は不可能です。
病気に感染しているトマトの生長点
根腐疫病に感染の疑いのあるトマトを見分けるのに成長点付近はかなり重要です。萎れ症状が出る前に見分ける事が出来ます、しかし見分ける事が出来ても発病を防ぐことは出来ません。
感染しているトマトの生長点付近は茎径が細く、生長点付近の葉の色も淡い緑色では無く濃い緑色で水分不足の状態と同じような葉色になり始めます。花芽の開花位置も生長点に近い所で開花し受粉はしますが果実の肥大はほとんど進みません。
生長点付近を観察して感染の疑いがあるトマトを見かけた場合、すでに地下部の根は感染症状が進んでいるため数日後には葉に萎れ症状が現れ始めやがて枯れてしまいます。
今のところ根腐疫病に対する有効な薬剤防除はありません!
根腐疫病に感染し病状が発症したトマトは治療する事が極めて困難となります。いかに栽培スタート前の準備段階から殺菌防除・繁殖環境を作らない・侵入経路を断つ事が非常に重要となります
根腐疫病の発生状況 温室トマトVer.
今シーズンの根腐疫病の発生状況はかなり深刻な状態になっています。根腐疫病の発生を疑う症状を確認し始めたのが9月の下旬、栽培を開始してから11週目、草丈は約1m64cm、本葉の生育枚数は約21.4枚目、花芽の開花段数は4.5段目、第一花房のトマト収穫開始まであと少しになった頃でした。初期の症状は生長点が極端に細くなりそれから数日後には良く晴れた日中に先端葉が萎れ症状を発症し始めました。
大規模に萎れ症状が発生したのが10月の上旬栽培開始から12週目になります。収穫は開始していましたが根腐疫病のトマトの樹は第1花房のトマトを収穫するのが限界でそれ以降の第2花房は肥大する前にトマトの樹が萎れてしまい収穫する事はほとんど出来ませんでした。
根腐疫病の症状で萎れて枯死し始めているトマトの樹を撤去開始したのが13週目からになります。この時点で栽培しているトマトの約半数を撤去しました。今後も根腐疫病に感染し病状が発症予定のトマトの樹が残っているため、栽培しているトマトの樹はほぼ失う事になりそうです。
まとめと温室トマトの今後
根腐疫病は症状が出てしまう頃にはすでに手遅れになっているため治療が極めて困難です。今シーズンのように大規模に発生してしまうと栽培を続けて行くことも難しくなります。現在、温室トマトでは栽培を一度終了して新しくトマトを入れ替える事を計画しています、現状のまま栽培を続けても収穫量は減ってしまうからです。
今後も温室内の状況と根腐疫病について記事にしたいと考えています。
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